腐ったリンゴというものはない

腐ったリンゴというものはない

こんにちは!
幸せ実践塾塾長の赤木あつしです。

「神との対話2」の一部を引用しながら
内容を解説するシリーズ。

今回は第3章の3回目になります。

「「腐ったリンゴ」などというものはない、
ということだよ。
あるのは、
あなたの考え方とはちがう考え方をするひと、
ちがう世界のモデルを
つくりあげているひとだけだ。
いいかね、どんな者でも、
自分なりの世界モデルにてらせば、
何も間違ったことはしていない。」
(p.60)

前回、「正しい」や「悪い」は
自分が決めていることだ
という話をしました。

その話の流れで、
神は「腐ったリンゴ」の例えをあげました。

「腐ったリンゴ」というのは、
カンボジアのポル・ポト政権が
使った例えのようです。

「腐ったリンゴは、
箱ごと捨てなくてはならない」

そう唱えて、
政治的反対者を弾圧したようです。

「三年B組金八先生」というドラマでは、
「腐ったミカン」の例えをあげています。

つまり、
箱の中に入れたミカン(リンゴ)の
1つが腐り始めると、
それが他のミカンにも広がるということです。

だから、腐り始めたミカンを
素早く取り除かなければならない。

これが、
犯罪者や敵対者を排除する論理です。

しかし神は、
「腐ったリンゴ」などというものはない、
と明言しています。

それは、その人の価値観においては、
誰も間違ったことはしないからだと。

日本でも昔からこう言います。

「盗人にも三分の理」

盗みという悪行をする人でも、
そうせざるを得ない理由があるのです。

そしてその理由は、
その人にとっては正当なものです。

他の人からすれば理不尽であったとしても。

「「正邪」に対するひとの考え方は、
文化によって、時代によって、
宗教によって、地域によって、……
それどころか家庭によって、
ひとりひとりの個人によって……
いくらでも変わるし、
変わってきたと言えばいい。」
(p.61)

神は、
絶対的な「正邪」はないと言います。

そして、
それがあると主張する人たちによって、
戦争が引き起こされたのだと。

だからそういう人たちには、
上記のように言ってやればいい
と答えたのです。

かつては、
「魔女狩り」が正当なことでした。

十字軍に参加してイスラム教徒を攻め、
金品を奪い、奴隷として連れ帰ることが
神の意に沿うこととされました。

黒人を奴隷にし、
有色人種の国を植民地化する。

白人でなければ人ではない
と考えることが当然でした。

しかし現代では、
それはとんでもないことです。

価値観というのは、
そういうものなのです。

そこで神は、爆弾発言をします。

「ヒトラーは天国へ行ったのだよ。」
(p.62)

にわかに信じられないことですが、
神はそう言います。

正邪が人それぞれだとするなら、
ヒトラーが地獄に行く必要はありません。

「ほんとうの問題は、ヒトラーの行動が
「悪」かどうかということだ。
ところが、わたしは、
宇宙には「正」も「悪」もない
とくり返して言っている。
ものごと自体が正であったり、
悪であったりすることはない。
ものごとはものごと、それだけだ。」
(p.62)

しかしそうは言われても、
あの大量虐殺を指示したということが、
「悪」でないと言えるのでしょうか?

「では、あなたがたが「死」と呼ぶものが、
じつは誰にとっても
最高の出来事だと言ったらどうかな?」
(p.63)

「いいかね、死の瞬間にあなたは、
かつて味わった最大の自由、最大の平安、
最大の喜び、最大の愛を知るだろう。
それでも、
イバラの藪にウサギどんを放りこんだ
キツネどんを責めるかな?」
(p.63)

魂にとって、
死は最大の幸福だと神は言います。

そして私たちの本質とは、
永遠の生命である魂です。

そうであるなら、誰かを殺すことが
「悪」と呼べるのでしょうか?

この議論は、
非常に危険なものだと言えます。

もし、殺すことが悪でないとしたら、
あのオーム真理教の狂気はどうなのでしょう?

連続婦女強姦殺人事件を起こした
大久保清はどうなのでしょう?

まさにここで神が例にあげた
ヒトラーの民族浄化はどうなのでしょう?

それらは「良い」ことをしたと
言えるのでしょうか?

ニール氏は、
死が魂の幸せだとしても、
誰かの生を中断する権利はないと言います。

それに対して神は、生の中断は、
自然災害などでも行われると言います。

ニール氏は、
自然災害は神の業(わざ)だと言います。

人が中断するのとは意味が違うと。

そこで神はこう言います。

「すべては、神の業だよ。
わたしが望まなければ、
どんなことも起こりえないとは思わないか?」
(p.64)

起こっていることはすべて、
神が認めたことだと言うのです。

神が認め、神が望んだからこそ、
現実に起こっている。

そうだとすれば、
すべては神の御業なのです。

神が全知全能だとすれば、
ヒトラーの行為を止めることもできました。

そうしなかったのは、
神がヒトラーの行為を認めたからです。

そうでないとすれば、
神は全知全能ではないことになります。

神が存在のすべてであるなら、
ヒトラーもまた神の一部です。

ヒトラーが神の一部であるなら、
ヒトラーが「悪」だとすると、
神も「悪」になります。

このように理詰めで考えてみれば、
ヒトラーの行為は
神の意志だと言わざるを得ません。

「わたしが放置したのなら、
それがわたしの意志だろう。」
(p.66)

神はすべてを無条件に愛する。

なぜなら神は愛であり、
存在のすべてだからです。

ヒトラーも神の一部だし、
神そのものです。

ですから神は、
ヒトラーのことも愛しています。

私たちは、絶対的な正邪は存在しない
ということを理解する必要があります。

そうしないかぎり、
すべてを統合することは不可能です。

「腐ったリンゴ」を排除しようとする限り、
平和な世界を築くことは不可能なのです。

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赤木篤 (あかき・あつし)


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